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ホーク・ワンで建てるセミ注文住宅 -埼玉で3階建て狭小ローコスト住宅-

オープンハウス建売住宅の断熱と気密調査?! 施主は大後悔?!

YouTubeの企画(イエサプ住宅丸裸)におそらくオープンハウス系列の建売住宅が出た。施主さんは後悔しているとのことなので、自分はどうなのかとつらつらと書いてみる。

 

まずはその動画はこちらだ。これを見てから下の記事を読んで欲しい。


www.youtube.com

 

それぞれテーマに沿って書いてみようと思う

 

気密について

調査した家の気密はC値1.4のn値は1.3と比較的良い値であった。これは個人的には朗報と捉えていて、準耐火構造であれば何もしなくてもこれぐらいのC値が出るということだ。個人的にはC値2~3と勝手に考えていたが、予想外に2.0を切っているとのこと。

建売でこれなら十分だと感じた。2.0以下というのは2000年代なら十分高気密と言われていた値だ。北方型住宅も昔の基準は2.0以下だ。30年前のスウェーデンの基準もこれぐらい。

比較的温暖な6地域ならこれはこれでアリだと考えている。だって、ローコスト住宅の建売ですもん。

隙間は玄関や洗面所の貫通部、脱衣所などの巾木や建具の隙間、コンセントからという感じ。C値1.4という事は、自然給気口3つ分の隙間だ。おそらく二つ分くらいは1階に集中していて、残り1個が3階とかにある感じと考える。2階は上にも下にも部屋があるので隙間は少ないと考える。

実は去年の真冬にサーモカメラを使って自分の家の隙間を探したところ大きな隙間は見つけられなかった。この動画の家と同じように、配管の貫通部と巾木、コンセント当たりである。これくらいならリカバリーも簡単だ。出来れば壁の中から隙間を埋めたいがこっちは難しい。

なので個人的には気密性能は予想に反して良いと取られている。だって建売だもん。例えばここから断熱等級6のC値0.5保証の注文住宅なんて建てようとしたら+1000~2000万は必要なわけで。

換気について

動画では換気がしっかりと出来てないという結果であったが、正直言ってこれは当たり前である。6畳以下の部屋に家族で寝て、個室のドアを閉めたら適切に換気されていても6000ppmは超えてしまう。なぜなら、6畳の部屋の必要換気量は12m3/hだからだ。ちなみに人間一人に20~30m3/h必要である。家族3~4人ならば、60~120m3/hだ。これは家一軒分の換気量に相当する。

だから、個室に家族全員で寝たら6000ppmを超えて当たり前である。個室のドアを全開にするか、もしくは指1~2本分は開けておくべきである。ドアストッパーでも付けておけばよい。

あとペンシルハウスは煙突効果で上階換気量が下がるという問題がある。これは気密性能が高くても(高ければ下がる量が減るが)発生するので仕方がない。ちなみに我が家は給気口にPCケース用のファンを取り付けて外気を取り込んでいる。これでも家族全員で寝ると1500~1800ppmには上がる。逆算すると給気量は40m3/h程度だ。

他の対策としては、窓を1cmぐらい開けた方がいいかもしれない。ただ、外気を直接入れると冬などは寒いので、上でも述べたように廊下などを経由して換気するドア開けのほうを推奨する。

ここから分かる事はLDKと主寝室には二酸化炭素濃度計があると換気の目安になって良いかもしれない。

結露について

冬の結露が気になるとのこと。寝室だけでなく3階の他の部屋も結露するとのこと。

まず前提として、樹脂サッシでも結露はする。どの程度加湿するかである。

とは言え、標準仕様のFG-Lだと確かに結露はしやすいという問題はある。特に寝室は動画にもあったように適切に換気されていない+人が多いということで人が出す水分量が多いので余計に結露しやすくなっている。

では他の部屋は?これはペンシルハウス特有の問題だ。煙突効果が強いので、1階や2階の暖かく湿った空気は3階に集まりやすい。そして3階が冷えていると、そこで空気が冷やされて結露が発生するというメカニズムだ。除湿された冷えた空気は1階や2階に行き、そこで暖められて水分を含んで3階にまた行くのである。除湿機みたいな状態になるのである。3階に水分が集まりやすくなっている。この現象を夏場に上手く利用したのが、F式除湿というやつだが、同じ現象が冬だと逆効果である。

なので、対処方法は温度ムラがないように3階も暖めるといったことが考えられる。上階が暖かければ、煙突効果は薄れるし除湿された冷たい空気が下層階に流れるのを防ぐ。

動画の施主さんの言うように標準仕様のFG-Lだと結露が結構でるので嫌になると感じる。それでもアルミサッシよりはマシである。しかし特に引き違い窓は樹脂の部分が薄いので、ここは補助金で内窓を付けるのが良いと感じる。新築時にオプションでより上のランクの窓にするのと費用はさほど変わらないはずだ。補助金を使えばより少ない費用で出来るはずだ。

ちなみに上のランクの窓にするより内窓にした方が性能が高い。サッシを樹脂に変えるだけより、ガラスの枚数が増えてサッシも樹脂になる方が断然良いに決まっている。断熱優先ならこっちの方が良いに決まっている。

 

e-tonbo.hatenablog.jp

 

夏の暑さや冬の寒さについて

これは戸建て宿命と考えている。真冬に無暖房で浴室を18度以上なんてG2.5以上の断熱が必要だ。そのレベルの住宅を手に入れるための費用を考えると、光熱費の差額を入れても建売は安いのである。建売住宅からG2やG3の注文住宅にするのに最低1000万は追加で必要だろう。年間光熱費をかなり多く見積もって10万円/年の差があるとしても、30年で300万円にしかならない。なお実際には冷暖房を真冬や真夏以外は間欠動作させればもっと電気代の差はもっと減る。

断熱を優先するなら、そもそもマンションの中部屋にすべきである。築20年以上のシングルガラスの実家はマンションだが、真冬でも浴室は17度はある。これに補助金で内窓を付けたら完璧だ。断熱優先なら断然、マンションの中部屋にすべきである。

しかし、戸建てを選んだには理由があるはずだ。騒音だったり、開放感だったり、広さだったりとするわけだ。高気密高断熱が最優先ならば戸建ては選ぶべきでない。

建売住宅は素直に個別エアコンで、多少はケチケチせずに冷暖房を使うべきである。特に一番寒くなるであろう脱衣所にはエアコンを取り付けるべきだ。壁掛けエアコンのコスパは非常に高い。高気密高断熱住宅では、エアコン1台や2台で全館空調というが、それを実現するための設備や設計費を考慮すると各部屋にエアコンを付けてもお釣りが出る。この時に注意しなればいけないは不必要に大きい容量のエアコンを買わないことだ。各個室は最低ランクの6畳用でいいし、なんならLDKも6畳用でいいこともある。もしくは14畳用で十二分だ。(10畳用は個人的には中途半端なのでおすすめしないことに。6畳用か14畳用の2者択一だ)

再熱除湿エアコンがあった方がいいが、優先順位としては「主寝室>LDK>>>その他個室」だ。ペンシルハウスだとLDKは2階になるため、以外と冷房の不快な冷たい空気は1階に流れるのでリビングは程よくなる。3階の人の居ない部屋でF式エアコンをやっても良い。ただし、寝室は夜寝るときに家族で集まるので湿度が上がりやすくかつ梅雨の時期は冷房運転しないので温度は低いが湿度が高い環境に長時間居ることになる。これは結構不快なので再熱除湿エアコンをおすすめする。

後はサーキュレーターを上手に使って温度ムラを減らそう。

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ただし電気代は一月で3万円になることもあるというのは留意しておくべきだ。これがG3の家なら1.5万円以下で済むが、元が取れないのは言うまでもないだろう。

まとめ

以上より自分としては後悔はあまりない。むしろ動画が公開されてから満足度が上がったくらいである。

まあ、自分の場合は窓や断熱をオプションで追加したし幹太くんやらの設備を導入できたことも大きい。

土地3000+建売住宅1500と土地3000+注文住宅3000の両物件を30年後に売るとしたらどちらも土地の3000万である。ならば、建売住宅というのも一つの解である。ベストよりベターだ。

快適性??どうせ光熱費では元を取れないのだから個別エアコンをガンガン使った方が良いだろう。電気代が気になるなら太陽光パネルを設置しても良い。

ちなみに家庭向けエアコンは省エネルギー基準が見直されて、更に効率が上がる予定である。目標とする年度は2027年度だが2025年度には達成されているだろう。目標とする基準は6畳用でAPF6.6と現行のハイエンド機種と同程度だ。これなら更に壁掛けエアコンを使った方が良い。効率改善は13%である。設定温度を2度上げても同じ電気代になるレベルだ。

なおどうしても我慢しなればならないことはある。それは温度ムラと除湿だ。いくら暖房を入れてもG2やG3ほど温度ムラを少なくできるかというと難しい。また、熱交換器無しだと湿度を下げるのが難しい。ここで言う難しいとは、絶対湿度を12g/m3以下にすることであって15g/m3程度であれば容易いだろう。

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つまり、熱交換器の価値は入ってくる冷気を抑えて温度ムラを少なくすることと湿度管理をしやすくすることだ。そして、G2やG3の価値は省エネとかではなく温度ムラを少なくし家全体の温度を均一にすることであろう。ここでG2やG3は省エネではないと言ったかというと、省エネならば太陽光パネルを設置した方が効果があるからだ。