一口にアルミ樹脂複合サッシと言ってもいろいろあります。そのため、注意して選ぶ必要があります。
アルミ樹脂複合サッシで結露したなんて話も聞きますが、アルミ樹脂複合サッシのランクにもよりますし室内の湿度にも左右されます。
条件が悪いと樹脂サッシであるAPW330でも結露は起きます。
アルミ樹脂複合サッシは大きく分けて3つのランクに分ける事ができます。
- アルミサッシの表面に樹脂板を貼ったもの ☆
- 室外側と室内側のアルミ材を樹脂材で分けたもの ☆☆
- 室内側に樹脂で中空層を設けた枠を有するもの ☆☆☆☆
下に行くほど断熱性能と防露性能は高くなります。上から順番に実際の製品名も挙げて解説します。
アルミサッシの表面に樹脂板を貼ったもの
これはほぼアルミサッシです。なんせ、アルミサッシの表面に1mmぐらいの樹脂板を貼っただけです。
アルミ樹脂複合サッシと言うのは半分詐欺に近いと感じます。これは、アルミサッシと言ってよいレベルです。
ネットで「アルミ樹脂複合サッシ 結露」で検索して出てくる結露報告はこのサッシである事が多いです。工務店やハウスメーカーでの薦めで、このようなサッシを付けた施主様がアルミ樹脂複合サッシを批判してる事が多いように見受けられます。ちょっと待ってください。あなたのアルミ樹脂複合サッシはアルミサッシと変わりませんよ。
具体的には下記の製品が該当します。
室外側と室内側のアルミ材を樹脂材で分けたもの
次は、アルミサッシの室外側と室内側を樹脂材で分けたものです。これは断面図をみるとわかりやすいかと思います。画像はYKK APとLIXILのサイトよりお借りしました。
これで少し熱が伝わりにくくなります。結露も少しは発生しにくくなります。ですが、樹脂が占める面積が少ないため結露はしやすい方だと考えます。アルミサッシや、上のなんちゃって複合サッシに比べればマシですが。
具体的には下記の製品です。
ちなみに多くの場合、アルミ材を分けている樹脂は上下の枠にはあっても左右にはありません。4方で分けられているように感じますがそんな事ありません。また、窓のシリーズによっては引き違い窓は樹脂材で分けてるけど、縦すべり窓や横すべり窓はアルミ材の一体ということもあるので注意です。カタログをよく読んで、図面を見ないと非常に分かりにくいです。これも半分詐欺ではと感じます。
室内側に樹脂で中空層を設けた枠を有するもの
真打登場です。個人的には、このレベルからアルミ樹脂複合サッシを名乗っていいと思います。これ未満はアルミサッシですね。
アルミ材を樹脂材で分けるのはもちろん、構造的に室内側は樹脂の多重構造になっており断熱性能を高めています。上の画像はLIXILのサイトよりお借りしました。
具体的には下記の製品です。
ここまで来ると樹脂サッシに肉薄します。ただ、やはり結露という観点では樹脂サッシには劣ります。しかしながら、APW330樹脂サッシは引き違いテラス戸になると強度の為に鉄芯が内部に入り断熱性能と防露性能が下がります。それによって、アルミ樹脂複合サッシと性能が逆転します。
樹脂サッシ教の人はあまりコレを指摘しません。分かってて導入するなら別にいいのですが。また大開口の窓は樹脂サッシにはなかったりします。
まとめ
上記より、アルミ樹脂複合サッシと言ってもいろいろとランクがあり性能が全く異なります。
アルミ樹脂複合サッシで結露がと言っている多くは、低ランクのアルミサッシと変わらないような場合です。
もちろん最上位のアルミ樹脂複合サッシでも結露しますが、湿度管理をちゃんとしていれば結露はほとんど発生せず、出たとしても微量ですぐに蒸発します。
樹脂サッシと複合サッシどっちのがいいの?
ここまで複合サッシの話をしておきながら、基本的には樹脂サッシの方が性能が良いので下記の条件であれば、樹脂サッシ一択と考えます。
- 防火地域・準防火地域でない
- 窓枠が太くても問題ない
- 大開口の窓でない
しかし、次の条件ではアルミ樹脂複合サッシも選択に入ると考えます。
- 防火地域・準防火地域で防火窓
- スリムな窓枠が良い
- 大開口の窓を付けたい
補足として準防火地域等ではアルミ樹脂複合サッシが選択肢に入るのは、防火窓の樹脂サッシは断熱性能が悪化するためです。しかも強度のために内部に鉄芯が入っています。実質上は金属樹脂複合サッシです。断熱性能はアルミ樹脂複合サッシの方が高くなることもあります。
アルミ樹脂複合サッシを採用するのであれば、ぜひ最高ランクの窓を選択してください。