アルミ樹脂複合サッシでは結露するのか
一口にアルミ樹脂複合サッシと言ってもいろいろあります。そのため、注意して選ぶ必要があります。
アルミ樹脂複合サッシで結露したなんて話も聞きますが、アルミ樹脂複合サッシのランクにもよりますし室内の湿度にも左右されます。
条件が悪いと樹脂サッシであるAPW330でも結露は起きます。
アルミ樹脂複合サッシは大きく分けて3つのランクに分ける事ができます。
- アルミサッシの表面に樹脂板を貼ったもの ☆
- 室外側と室内側のアルミ材を樹脂材で分けたもの ☆☆
- 室内側に樹脂で中空層を設けた枠を有するもの ☆☆☆☆
下に行くほど断熱性能と防露性能は高くなります。上から順番に実際の製品名も挙げて解説します。
アルミサッシの表面に樹脂板を貼ったもの
これはほぼアルミサッシです。なんせ、アルミサッシの表面に1mmぐらいの樹脂板を貼っただけです。
アルミ樹脂複合サッシと言うのは半分詐欺に近いと感じます。これは、アルミサッシと言ってよいレベルです。
ネットで「アルミ樹脂複合サッシ 結露」で検索して出てくる結露報告はこのサッシである事が多いです。工務店やハウスメーカーでの薦めで、このようなサッシを付けた施主様がアルミ樹脂複合サッシを批判してる事が多いように見受けられます。ちょっと待ってください。あなたのアルミ樹脂複合サッシはアルミサッシと変わりませんよ。
具体的には下記の製品が該当します。
室外側と室内側のアルミ材を樹脂材で分けたもの
次は、アルミサッシの室外側と室内側を樹脂材で分けたものです。これは断面図をみるとわかりやすいかと思います。画像はYKK APとLIXILのサイトよりお借りしました。
これで少し熱が伝わりにくくなります。結露も少しは発生しにくくなります。ですが、樹脂が占める面積が少ないため結露はしやすい方だと考えます。アルミサッシや、上のなんちゃって複合サッシに比べればマシですが。
具体的には下記の製品です。
ちなみに多くの場合、アルミ材を分けている樹脂は上下の枠にはあっても左右にはありません。4方で分けられているように感じますがそんな事ありません。また、窓のシリーズによっては引き違い窓は樹脂材で分けてるけど、縦すべり窓や横すべり窓はアルミ材の一体ということもあるので注意です。カタログをよく読んで、図面を見ないと非常に分かりにくいです。これも半分詐欺ではと感じます。
室内側に樹脂で中空層を設けた枠を有するもの
真打登場です。個人的には、このレベルからアルミ樹脂複合サッシを名乗っていいと思います。これ未満はアルミサッシですね。
アルミ材を樹脂材で分けるのはもちろん、構造的に室内側は樹脂の多重構造になっており断熱性能を高めています。上の画像はLIXILのサイトよりお借りしました。
具体的には下記の製品です。
ここまで来ると樹脂サッシに肉薄します。ただ、やはり結露という観点では樹脂サッシには劣ります。しかしながら、APW330樹脂サッシは引き違いテラス戸になると強度の為に鉄芯が内部に入り断熱性能と防露性能が下がります。それによって、アルミ樹脂複合サッシと性能が逆転します。
樹脂サッシ教の人はあまりコレを指摘しません。分かってて導入するなら別にいいのですが。また大開口の窓は樹脂サッシにはなかったりします。
まとめ
上記より、アルミ樹脂複合サッシと言ってもいろいろとランクがあり性能が全く異なります。
アルミ樹脂複合サッシで結露がと言っている多くは、低ランクのアルミサッシと変わらないような場合です。
もちろん最上位のアルミ樹脂複合サッシでも結露しますが、湿度管理をちゃんとしていれば結露はほとんど発生せず、出たとしても微量ですぐに蒸発します。
樹脂サッシと複合サッシどっちのがいいの?
ここまで複合サッシの話をしておきながら、基本的には樹脂サッシの方が性能が良いので下記の条件であれば、樹脂サッシ一択と考えます。
- 防火地域・準防火地域でない
- 窓枠が太くても問題ない
- 大開口の窓でない
しかし、次の条件ではアルミ樹脂複合サッシも選択に入ると考えます。
- 防火地域・準防火地域で防火窓
- スリムな窓枠が良い
- 大開口の窓を付けたい
補足として準防火地域等ではアルミ樹脂複合サッシが選択肢に入るのは、防火窓の樹脂サッシは断熱性能が悪化するためです。しかも強度のために内部に鉄芯が入っています。実質上は金属樹脂複合サッシです。断熱性能はアルミ樹脂複合サッシの方が高くなることもあります。
アルミ樹脂複合サッシを採用するのであれば、ぜひ最高ランクの窓を選択してください。
効率重視のエアコン選び方 小さい畳数用のエアコンでも問題ない?
- 前回からの続き
- 効率重視のエアコン畳数計算
- エアコン暖房は定格の5割が高効率
- エアコンの動作を車で例えると
- 暖房負荷の倍がエアコンの定格となるように選ぶ
- 低温動作能力の確認
- 立ち上がりを考慮すると?
- エアコンは6畳、10畳、14畳から選ぶ
前回からの続き
この記事は、「エアコンの選び方と部屋の広さ 18畳の部屋には18畳用エアコンは必要ない⁈ 」の続きです。
効率重視のエアコン畳数計算
さて上の記事の内容と同じ事をしても面白くありませんので、ここでは少し他とは違った条件で適正なエアコン能力を計算してみます。それは効率重視です。立ち上がりは無視して考えます。
エアコン暖房は定格の5割が高効率
エアコンが効率的に動くのは定格の8割というのを様々なところで見ます。しかし、どうやらこれは古い情報のようです。以下の工務店ではエアコン定格の半分が効率が良い点として計算しているようです。また、「エコハウスのウソ2」にもエアコン定格の5割が最も効率的という記載があるようです。
その根拠となる論文を色々と調べました。無料で確認できるものは以下の論文が該当しそうです。
http://tkkankyo.eng.niigata-u.ac.jp/data/hokurikusibu/sibukogai_cop_2_2015.pdf
上のグラフは論文より引用しました。横軸が出力で単位はkWです。暖房定格5.0kW、冷房定格4.0kWのP社製エアコンを風量自動で動かした時の出力とCOPの関係です。
暖房は定格5.0kWの半分前後で効率が高いことが分かります。定格の8割はむしろ効率が下がっていますね。
冷房は暖房と少し異なり、定格4.0kWの半分以下の時と定格の時が効率が高いようです。
意外と4割程度のノロノロ運転でも効率が高いようです。巷で言われていることと異なりますね。1.0kWでグラフの線が切れているのはこれ以下だとON/OFF運転となるため計測できないからのようです。
注意点としては市場にある全てのエアコンを調べたわけではないようなので、あくまでも傾向ということです。
エアコンの動作を車で例えると
そもそも、エアコンの定格という表記が分かりにくいと思います。というのも車で例えると、最高時速180kmで定格時速100km、最高燃費時速50kmという感じになります。また、その速度と燃費は4人乗りの車で2人が乗った時のテストコースでの計測値という感じです。4人が乗ったり、他に荷物を積んだりすれば数値は変わりますし、テストコースではなく街中を走れば数値とは異なってきます。
なので定格時速100kmとしても、高速も走れますし街中や渋滞でも問題なく走れます。ただし燃費は下がるという話です。
暖房負荷の倍がエアコンの定格となるように選ぶ
では効率重視のエアコンの選び方はどうなるのでしょうか。理想を言うと、冷房と暖房で負荷が異なるので専用機が欲しいところですがそれは一般家庭では厳しい条件です。普通は兼用でしょう。そう考えると、電気代が高くなる暖房時に高効率とするのが良いと考えます。
東京の例で考えてみます。条件は以下のように設定しました。
- 外皮設定:断熱等級4 C値2.0
- 暖房設定温度:23℃
- 外気温:5℃(1月の平均気温)
- 部屋の広さ:18帖のLDK
これで計算すると暖房負荷は1.57kWのようです。6畳用エアコンの6割で10畳用エアコンの4割の値となりました。効率のみを考えると断熱等級4でも畳数の3倍程度が最適解であることがわかります。暖房負荷の計算には下記のサイトのツールを使用しました。
この計算で肝心なのが、室内の設定温度と外気の温度をいくつで計算するかです。畳数表示の計算では設定温度は20℃とされることが多いようですが、これだと少し寒いので23℃としました。その分暖房負荷は増えます。
外気の計算条件は、1月か2月の平均気温で計算するのが良いと考えました。年間の最低気温で計算すると、寒波が来た時以外は暖房負荷が軽くなりエアコンがON/OFF運転となってしまい、効率的に動かすことができません。そのため、暖房負荷がそこそこ高くかつ発生頻度が高い1月や2月の平均気温が適切と考えます。
冬季全体の平均気温で計算しないのは、外気温が高いとエアコンの効率は高くなりますし、そもそも暖房にパワーが必要ないため電気代も抑えられます。外気がある程度低くパワーが必要となる条件で効率よくするのが妥当と考えます。
(※気温を正弦波と仮定すると実効値となる気温にするのが良いとも考えられます。ただそれだと、エアコンを使用しない時期を含んでの実効値となるので年間の最高気温と最低気温の正弦波として実効値を算出し、その値から-1~-2するのが良いと考えます。それを計算すると、大体1月とか2月の平均気温と近い値になるので真冬の平均気温で計算するのが良いと結論付けました。)
低温動作能力の確認
いくら効率重視とはいえ、数年に一度の寒波等で部屋が温まらないのは問題です。なので、最低気温でも動作するかの確認は必要です。以下の条件で計算してみます。
- 外皮設定:断熱等級4 C値2.0
- 暖房設定温度:23℃
- 外気温:-2℃(年間の最低気温)
- 部屋の広さ:18帖のLDK
これで計算すると暖房負荷は2.12kWです。6畳用エアコンのベーシックモデルでは「低温時暖房能力」が2.8kWぐらいですので3割くらいのマージンがあるので大丈夫そうです。
立ち上がりを考慮すると?
さて上で散々計算した条件というのは室温を一定に保つ時の暖房負荷です。これが冷え切った部屋を23℃まで温めるにはもっと大きな暖房負荷となります。「SHASE-S 112-2009」の規格によると、2時間程度で部屋を暖めたいなら一定に保つ時の暖房負荷の2倍としています。1時間程度ならば4倍で、30分程度なら5倍となります。
上で計算した暖房負荷を2倍にすると以下のような結果です。
- 1月平均気温時:3.14kW
- 年間最低気温時:4.24kW
ベーシックモデルの6畳用エアコンでは部屋の温度を一定に保てても、冷えた部屋を2時間以内に温めることは出来ないことが分かりました。ハイエンドモデルであれば、「低温時暖房能力」が4.5kW程度なのでギリギリ行けそうですが、素直に10畳用エアコンや、早く部屋を温めたいなら14畳用エアコンにした方が良さそうです。
断熱等級4の18帖の部屋ならば立ち上がりを無視して効率重視で6畳用、立ち上がりを考慮すると10畳用という結果になりました。
これが断熱等級5になると計算過程は省略しますが、効率重視で6畳用、立ち上がりを考慮しても6畳用(ハイエンドモデルのみ)となります。
エアコンは6畳、10畳、14畳から選ぶ
上で少し疑問が発生したかと思います。6畳用で足りないなら8畳用にするのが順当では?と。それには理由があって、家庭用エアコンは大きく分けて3つのクラスがあります。
- 低出力:6畳用と8畳用
- 中出力:10畳用と12畳用
- 高出力:14畳用以上
詳しくは以下の動画を見てください。
自分も最初はホントかいなと思いました。
メーカーのカタログを見ると確かにその傾向がありました。自分が着目したのは、室外機の大きさと重さです。エアコンの本体は実は室外機です。こっちがメインなんですね。
仕様を見てみると、確かに異クラス間では室外機のサイズが異なりますが、同クラス内であれば室外機のサイズは同じことが多いです。
ただ同クラス間でも、重さが少しだけ異なります。放熱フィンのサイズぐらいが違うのかもしれませんが、ハードウェアは殆ど同じと考えられます。メーカーによっては、8畳用が中出力のクラスのこともありました。
同クラス内であれば、容量が一番小さいのが金額的にお得なので上記の畳数のエアコンから選ぶのが良いという話です。
エアコンの選び方と部屋の広さ 18畳の部屋には18畳用エアコンは必要ない⁈
エアコンの選び方と部屋の広さの結論
エアコンを買いに家電量販店に行くと部屋の広さを販売員に確認されると思います。しかしちょっと待ってください。エアコンに表示されている対応する広さというのは戸建ての場合、築30年以上前の家に取り付ける前提となっています。
築20年以内だったり新築だったりすると、そこまで大きい広さに対応したエアコンは必要ないかもしれません。
いろいろと条件があるのですが、単純化すると以下のような感じになります。
- 窓がシングルガラス:畳数表示の0.8倍程度の広さに対応
- 窓がペアガラス(上階部屋):畳数表示の1.5〜2倍程度の広さに対応
- 窓がペアガラス(上階屋根):畳数表示の1.2〜1.5倍程度の広さに対応
エアコンの購入費用を節約したいという方は一考されてみてはいかがでしょうか。
細かい話は以下に続きます。
- エアコンの選び方と部屋の広さの結論
- エアコンの畳数表示は無断熱の家
- 無断熱の家はどれくらいのUa値?
- 新しい規格での畳数目安
- 住んでる家の断熱等級の見分け方
- まとめると
- 断熱等級5以上の畳数計算は?
- エアコンのパワーを上げても足元は温まらない
- 効率重視のエアコン選び方へ続く
エアコンの畳数表示は無断熱の家
エアコンの畳数については「JIS C9612」という規格で定められています。
この畳数表示というのが曲者で、昭和55年以前の無断熱の家に取り付ける場合で計算されています。南向きの洋室で1m^2当たり265Wと規定されています。6畳は10m^2なので定格2.5kWのエアコンが対応するという感じです。
無断熱の家はどれくらいのUa値?
無断熱の家ってどんな感じかと言えば、古い木造住宅を想像していただければ分かるかと思います。冬は外と変わりません。
さて、そんな無断熱の家の断熱性能はどんなものでしょうか。いろいろと計算があり、家の条件によっても変わってきます。検索するとサイトによってバラバラです。まあ、そりゃそうです。だって無断熱で基準なんてないんですから。
ここでは、経産省のエアコンに関する資料の値から参照します。
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/air_denki/pdf/003_04_00.pdf
それによると「Q値7.7 ≃ Ua値2.7」だそうです。サイトによってはUa値3.2と表記しているところもありました。
東京の断熱等級4でUa値0.87ですから、3倍近くもしくはそれ以上の熱が逃げている計算です。そりゃあそんだけ熱が逃げるならエアコンは効きが悪く、石油ストーブ等の輻射熱タイプの暖房が昔の家では重宝されるはずです。
新しい規格での畳数目安
そんな無断熱の家を基準にエアコンを選ぶのは下策であることが分かって頂けたかと思います。では、昭和55年以降に建てられた家、つまりは断熱等級2以上の家の場合はどうやって選ぶのが良いでしょう。
先程話した「JIS C9612」は何回か見直しがされており、断熱のある家でのエアコンに関しては「空気調和・衛生工学会」の規格が参照されて書かれています。部屋の方角や窓の大きさ、上が屋根か部屋なのか条件によって異なる能力が設定されています。その規格もいろいろと変わっているのですが、現段階では「SHASE-S 112-2009」となっています。
ざっくりと畳数目安の何倍までの広さに対応するかというと、以下のような感じです。
- 断熱等級1(無断熱): 畳数0.9~1.3倍
- 断熱等級2・3 : 畳数1.2~1.5倍
- 断熱等級4 : 畳数1.5~1.9倍
より詳細に条件を設定したい場合は、以下のサイト等で計算できます。
今時の建売ならば断熱等級4程度はあるので、首都圏の18畳以下のLDKならば10畳用のエアコンでも十分です。
それ以上の広さだったり、隣に6畳の和室があるとかリビング階段とかあるならば、14畳用エアコンになるという感じです。
よくエアコンを選ぶ時は余裕を持って上の能力があるのを選ぶと言いますが、それは断熱等級1(無断熱)の場合のみです。築30年以上の家であればそうすべきですが、築20年以内の家ならばそもそも畳数どおりでも余裕があります。畳数が小さいエアコンほど値段が下がるので、その分節約になります。新築で窓がペアガラスならば尚更のこと小さい畳数用のエアコンで十分です。
エアコンをフルパワーで動かすと壊れやすいなんてことも聞きます。しかし、そんな状態にするには窓がシングルガラスの12畳の部屋に6畳用のエアコンを付けたりしない限りありえません。エアコンメーカーのポジショントークと考えます。
住んでる家の断熱等級の見分け方
自分の住んでいる家が果たして断熱等級のいくつなのか把握してる人は少ないと思います。築30年以上であれば恐らく無断熱だと思いますが、必ずしもそうとは言い切れません。ここでは、温暖地(首都圏など)での簡単な木造住宅の断熱等級の見分け方を紹介します。
- 床や天井に断熱材が無く、窓はシングルガラス:断熱等級1
- 床や天井に断熱材が有り、窓はシングルガラス:断熱等級2 or 3
- 床や天井に断熱材が有り、窓はペアガラス:断熱等級4
床や天井に断熱材が入ってるかは、覗けばわかるかと思います。床や天井に断熱材が入っていれば壁にも入っているはずです。
まとめると
上記の内容を単純化すると、窓がペアガラスなら表示の1.5〜1.9倍の部屋まで対応し、シングルガラスなら表示と同じ広さのエアコンが対応するという感じです。
ただし、上の計算は設定温度が20℃と少し低めです。設定温度を23℃にすると、必要となる出力は2割弱増えるのでそれらを考慮すると以下のような結論になりました。
- 窓がシングルガラス:畳数表示の0.8倍程度の広さに対応
- 窓がペアガラス(上階屋根):畳数表示の1.2倍程度の広さに対応
- 窓がペアガラス(上階部屋):畳数表示の1.5倍程度の広さに対応
断熱等級5以上の畳数計算は?
上の規格やツールでは断熱等級4までのエアコン畳数計算となっています。ではそれ以上の断熱等級5や6ではどうするのが良いでしょうか。有志の方が作製した便利な簡易計算ツールが既にあります。
せやま式 エアコン容量 早見表
【無料】家づくりツールを完全公開します|ダウンロードまとめ | GOOD THINGS COMMITTEE
元となった計算式は高気密高断熱の設計で有名な「株式会社松尾設計室 一級建築士設計事務所代表 松尾 和也先生」が考案したものです。規格化されたものではありませんが、よく使われておりデファクトスタンダードとなっています。
エアコンのパワーを上げても足元は温まらない
断熱等級6や7を標準仕様として取り扱うHMや工務店であれば詳細な計算を行って、エアコンを選定してくれるかと思います。しかし、ローコスト系で断熱等級4が標準仕様のHMや工務店では計算をしてくれることは少なく、施主自らが計算する必要があります。
そもそも、断熱等級4の家を建てておいて18畳の部屋に20畳のエアコンを薦めてくるのが現状です。そんなにパワーは必要ありません。
暖かい空気は風船のように上へ浮かび、冷たい空気は水のように下へ流れます。そしてこの2つはなかなか混ざり合いません。天井からの暖かい空気を増やしても、天井ばかりが温まるだけです。足元にある冷たい空気には影響ないので、体感温度はいつまで経っても寒いままです。シーリングファンやサーキュレーター等で天井の暖かい空気を床に叩きつけるか、床の冷たい空気を天井に打ち上げる必要があります。
エアコンというのは、冷房の時は本体より下の空間を冷やして、暖房の時は本体より上の空間を温める傾向があるという理解が必要です。
効率重視のエアコン選び方へ続く
さて上と同じ事をしても面白くないので、ここでは少し他とは違った条件で適正なエアコン能力を計算してみます。それは効率重視です。立ち上がりは無視して考えます。
と思いましたが、記事が長くなったので別の記事に分けます。
ローコスト住宅の電気代はどれくらいか? シミュレーション編
こちらの記事を参考にローコスト住宅の代表とも言えるオープンハウス・ディベロップメントでの仕様で年間電気代をシミュレーションしてみました。
ちなみに我が家はオープンハウス・ディベロップメントではなく、ホーク・ワンで埼玉県に家を建てました。どちらもオープンハウス系列で、メインは建売のパワービルダーです。仕様は殆ど同じです。
セミオーダーで建てたので、断熱材等はオプションを付けました。標準仕様とオプション仕様の年間電気代をシミュレーションして、差額を出したいと思います。
シミュレーションに使うのは上のサイトと同様に「エネルギー消費性能計算プログラム」を使用しました。これは、国土交通省住宅局が管理している公的なWEBアプリケーションです。
年間電気代と差額
まずは結果からです。
標準仕様は一般的な建売と同じです。オプション仕様というのは、断熱材と窓をオプション仕様にしたものです。標準仕様では断熱等級4で、オプション仕様では断熱等級5となっています。
細かい条件は後述するとして、延床面積115m^2で電気とガスは併用です。コンロと給湯器にガスを使用します。
あれ、、、?思ったより電気代は安くなりませんね。。
窓を小さめにしても、30年で50万円の差額です。壁や天井の断熱材と窓の断熱性能を上げるのに100万円程のオプション費用が発生しました。断熱性能を上げるのはコスパというより快適性ですね。
標準仕様の結果を見るに年間電気代は16万円程、平均で月1.3万円程なので、電気代が安い月は6000円で高い月は2万円程になるでしょうか。そこそこ近い値だと感じます。
電気代を安くしたいなら太陽光パネルを付けた方がいいかもしれません。
計算条件
計算条件は以下のように設定しました。換気の熱交換器は無しで行っています。
断熱性能以外は建売住宅とほぼ同じです。まさに、ローコスト住宅って感じです。他にもガス機器の設定がありますが、電気代の計算には影響ないので省略しました。
Ua値の計算は以下の記事で行っており、こちらで算出した値を使用しています。
ハウスメーカーの冷暖房費が〇〇%減という広告に注意
高気密高断熱の家の広告では、よく電気代や冷暖房代が半分以下と見かけます。しかしあれは断熱等級1や3との比較が殆どです。そりゃあ無断熱の家と比べたら、断熱等級4でも雲泥の差です。
現在では建売でもアルミサッシのペアガラスが一般的ですし、断熱等級4と比較すると上記のような差しかありません。
後悔しない家づくりのために‥事前勉強しよう!
タイトルの通りです。
後悔しない、もしくは少ない家づくりは事前勉強が不可欠!
どんな風に勉強しておくと良いか、オススメの方法について紹介します。
オープンハウス系列以外で新築注文住宅を検討している方にも参考になるように書きます。
- ①建売住宅をたくさん見学する
- ②建築の専門家You Tube等動画を見る
- ③先人のブログを読む
- ④ルームツアー動画を見る
- ⑤フリーペーパーを読む
- ⑥本を買って読む
- ⑦モデルハウス(住宅展示場)見学
- 最期に‥
①建売住宅をたくさん見学する
メリット
近年の傾向(人気の設備、デザイン等)がつかめる。
広さの感覚がつかめる、分かる。
間取りの参考になる。
生活動線のイメージがつく。
デメリット
時間と労力を使う。
営業さんの対応が辛い。スルースキルが必要。
オススメ度 ★★★★★ 5.0
見れば見るほどいい。
戸建てはマンションのモデルルームのように豪華な装飾がなく、より生活感を意識した見学ができると思います。
注文住宅を建てるにしても、建売住宅をいくつか見学しておくと、とても参考になります。
個人的にはかなりオススメです!
②建築の専門家You Tube等動画を見る
メリット
素人ではなく、専門家の意見が聞ける。
ニッチな内容や、最新情報の解説などが聞ける。
デメリット
あくまで営業ではなく専門家(建築士、大工、大学の先生等)を選ぶ必要がある。
専門用語が出るので、小難しい場合もある。
中には極端に話をする人もいるので真に受けすぎないこと。
オススメ度 ★★★★☆ 4.5
我が家が参考にした動画↓(一部)
③先人のブログを読む
メリット
同じハウスメーカーや工務店の傾向、流れ、特徴を把握・イメージすることができる。
デメリット
内容のテイストに合う合わないがある。
あくまで素人、住んでから数ヶ月〜1年程度の意見なので、鵜呑みに過ぎない。
たまに間違った情報(耐震等級→耐震性能と誤表記、耐震等級と耐震等級相当がごちゃまぜになっている等)や、漢字間違えなどがあるので注意。
オススメ度 ★★★☆☆ 3.0
自分もブログを書いておいて微妙な評価ですが‥
ブログにも、オプションめっちゃつけてすごいでしょ〜みたいなものもあれば、後悔ポイントを紹介したものなど、色々あります。
自分の生活感と似ている&似たような傾向のハウスメーカー を参考に、自分にとって参考になりそうな記事を探していくのがポイントだと思います。
④ルームツアー動画を見る
メリット
間取りや設備、デザインの参考になる。
手軽に部屋の見学ができる。
デメリット
実際に行かないので、広さの感覚は掴みにくい。
使いやすさよりもデザインに凝っているものが多い傾向。
オススメ度 ★★★☆☆ 3.5
真夏の建売住宅見学は地獄です。
まずはルームツアー動画を見て、この設備はいいなーとか、いらないなーなど、突っ込んだり楽しみながらイメージを膨らましていくのがオススメです。
建売がベストですが、デザインを重視したい施主さんなら、賃貸のルームツアーでも参考になります。
特に、不動産会社等が行っているルームツアー動画は、動画自体酔いにくく見やすいのでオススメです。
我が家がよく見ていた動画チャンネル↓(一部)
⑤フリーペーパーを読む
メリット
安く、手軽に、必要最低限の情報を手に入れられる。
デメリット
情報量が少ない。
ほとんど広告。
オススメ度 ★☆☆☆☆ 1.5
本当に最低限のことを知りたいときにいいと思います。
⑥本を買って読む
メリット
比較的フリーペーパーよりも詳しい内容が書かれている。
フリーペーパーよりも踏み込んだ内容を勉強できる。
本に付箋を貼ったりメモを入れたりと、後でサッと見返すときに便利。
デメリット
多少なりともお金がかかる。
金額に見合った内容かは、読んでみないと分からない。
オススメ度 ★★★☆☆ 3.5
参考にした本については、別記事を作ろうと思っています。
⑦モデルハウス(住宅展示場)見学
メリット
最新の、最高級の設備や構造を見ることができる。
暖房や冷房の効いた空間で見学ができる。
たまにお土産をもらえる。
デメリット
オプション盛々の、魅せるための家のため、現実的な作りをしていない。
モデルハウスみたいな家を期待すると後悔する。(十分なお金がある人は大丈夫てす。)
営業へのスルースキルが必要になる場合も。
面倒なアンケートや面談がある場合も‥。
オススメ度 ★★☆☆☆ 2.5
ローコスト住宅を建てる身としては、物の珍しさ?から行っていました。
最初から夢の家を見に行く気持ちで行ったので、モデルハウスみたいな家に住みたい♡なんてテンションにはなりませんでした。しかし、最初にモデルハウスに行って、それが標準になってしまうと、建売住宅等ほかの家が全て陳腐に見えてしまいます。
オススメは、建売住宅の見学(もしくはルームツアー動画鑑賞)→モデルハウス見学 です。
最期に‥
現時点ですが、自分の家づくりに全く後悔が無かったかといえば、そんなことはありません。
ただ、後悔にも2種類あって、
知らなくて後悔する のと、分かっていて後悔する があります。
前者は、単純に自分の勉強不足です。
後者は、メリット・デメリットそれぞれを踏まえ、最終的に自分の判断で決めたことに対する後悔です。
後者の後悔って、実はそんなに心にグサッとこないんですよね。
だって分かって決めたことだから。
我が家ですごく後悔したな〜と思うものって、やはり自分の勉強不足によるものなんですよね。
無知は恥‥とまではいけませんが、住宅購入は人生の大きな買い物の一つ。勉強しておけば得することも多いです。
このブログが少しでもみな様の参考になると嬉しいです。
アルミ樹脂複合窓は内部結露する⁈
複合サッシは内部結露するのか
複合サッシでは内部結露になり危険という意見があります。私も最初はそう考えていたのですが、今は懐疑的です。というのも、窓枠の周囲は固定と強度のため木枠で囲われます。その厚みは50mm程度です。その部分の内部結露を気にするのであれば、間柱や構造用合板の内部結露も気になります。ましてや、木製サッシも厚みが50mm以下の部分があります。しかし、結露しにくいとアピールされます。
複合サッシの時だけ何故か内部結露を指摘されます。しかし、内部結露は防湿層の連続性がないことによって発生します。つまり、防湿層に穴があるから内部結露です。もちろん、防湿層もしっかりやって更に樹脂サッシならば完璧でしょう。樹脂サッシならば防湿層に多少の穴があっても、内部結露になりにくいとは考えます。しかし、複合サッシならば内部結露すると言うのは違うのではと考えます。
日本は地震、火事、台風と窓に求められる性能がヨーロッパとは異なります。準防火地域では、強度と断熱のバランスを考えると複合サッシは悪い選択ではないと思います。
内部結露する条件
内部結露するには、室内側の温かく湿った空気が壁の中や窓枠の隙間に入る必要があります。平家ではあまり問題にならないのですが、2階以上の上層階がある建物だと冬場の温度差によって発生する浮力から下層階は負圧、上層階は正圧となります。
これによって、上層階は室内の温かく湿った空気が隙間を通って内部結露するという条件が揃います。ちなみに、樹脂窓だろうと気密が悪いと内部結露は発生します。
北海道の調査ではC値2.0以下では目立つ劣化はなく、あっても開口部周辺だそうです。開口部周辺は気密が甘くなりやすく、気密テープでしっかりと施工しないとそうなるようです。
3種換気の場合
上層階では正圧になると上に述べましたが、それは自然換気での状態です。例えば3種換気であれば室内は負圧となります。元々、正圧だった上層階は3種換気により無圧に近くなるか、微負圧になると考えられます。気密が悪いと微正圧ですが、元の自然換気の状態より軽減されます。そうなると、温かく湿った空気は隙間に入りにくくなるため内部結露も少なくなります。
1種換気の場合
では1種換気ではどうでしょうか。3種換気と異なり室内が負圧になりません。そのため、上層部では正圧となり温かく湿った空気が隙間に入る可能性があります。気密性が悪い(C値2.0以上)と問題になるかもしれません。ここは、正確な調査やデータが無くなんとも言えないのです。
とは言え対策もあります。シンプルに室内を負圧にすればいいのです。1種換気を採用してる家でも、局所換気があるかと思います。その局所換気を冬の間だけ24時間稼働にすればいいわけです。理想としては、外気温と室内気温の差が10度を超えたら自動で稼働するですかね。
複合サッシだから内部結露するのではない
以上よりアルミ樹脂複合窓だから内部結露するのではなく、気密性が低い事と室内側が正圧となる事で内部結露になります。もちろん、アルミ樹脂複合窓の方が内部結露になりやすくなる可能性は十分にあります。しかしそれは、原因ではなく副次的な要因です。
樹脂窓かアルミ樹脂複合窓か
もちろん、樹脂窓の方が素晴らしい性能です。ですが、準防火地域等を考えるとアルミ樹脂複合窓も十分選択肢に入ると思います。準防火地域でないなら、樹脂サッシ一択ですが。
なお、アルミ樹脂複合窓には性能が悪いのもあるので、ちゃんと選ぶ必要があります。
リクシルの場合、引き違いのFG-Lはやめた方がいいです。せめてFG-Hか、ハイブリッド窓TWを推奨します。縦すべりや横すべり、FIX等はFG-Lでもそこそこの性能が出るので悪くはありませんが、やはりTWが良いのではと思います。そこは、お財布と相談です。
家の価値を長持ちさせる方法
この記事は前回の続きです。下のリンクから前回の記事を見れます。
省エネ基準義務化による陳腐化
家の価値がすぐになくなるのは嫌です。
特に構造や断熱は後から変更が難しいので、新築時にある程度高いレベルにすることをおすすめします。25年に省エネ基準の義務化が予定されています。つまり、断熱等級4以下は陳腐化します。今から新築で建てるのであれば断熱等級5以上が推奨です。
オープンハウス・ディベロップメントやホーク・ワンでも断熱材のオプションと引違い窓だけでもオプション品にするだけで断熱等級5になります。
「サーモスX」では引違い窓の性能が低かったのですが、「TW」では改善しており「APW330」と同等なのでオススメです。
また、耐震基準も更新されるようなので、気になる場合は構造計算の耐震等級2以上をオススメします。
時間による陳腐化を遅らせるには
劣化や減価償却は防げません。
ですが、遅らせることはできます。設備の劣化は交換やリフォームなどで改善できます。
しかし、水回り設備の更新はお金がかかるわりに価値の増加にそこまで寄与せずコスパが悪いので、実際には内装や外装のリフォームのみとなるパターンが多いようです。見た目は大事ですからね。
流行りの間取りや設備は、リノベやリフォームをして後付けが考えられます。間取りは難しい事がありますが、設備であればある程度は可能です。流行に合わせる事で価値を持ち続けことができます。
まとめると、構造や断熱が最低限あり内装リフォームで小綺麗になって、標準的な設備と流行りの設備が多少あれば価値が付くということです。
築浅は正義!新築は真理!
しかし、例え性能や設備、流行等が陳腐化している住宅でも価値をつける方法がひとつあります。
それは築浅です。築浅というのは、それだけで価値が高まります。
ここまで書いていて思ったのですが、ある程度の住宅性能と設備であり、流行の間取りや設備もあって築浅の物件ってようは新築の建売なんですよね。最近の建売をみると、床暖房に浴室乾燥やWIC等があります。WICにいたっては配置によって部屋が狭くなったりとデメリットもあるのですが、だいたいの建売にあるのが不思議でした。しかし、ようはそれが売れる要因なんですね。なんやかんや新築の建売が人気な理由がわかりました。そしてリセールバリューを考えると建売になってしまうということがわかりました。
住宅の中古市場
今後、日本の人口は減少していきますが空き家が増えても結局は市場とのミスマッチを避けることはできず、新築が増え続けるのは変わらないかと思います。国は中古市場の活発化を目指していますが、あと30年ぐらいは厳しいのではと思います。というのも、断熱と耐震が最低限クリアした家が市場に十分になければ意味がありません。構造計算の耐震等級3未満は論外なんて情報が多い中、中古物件が活発に取引されるとは到底思えません。
とはいえ、トレンドとして古い戸建てのフルリノベーションは増加すると予想されます。
ただ、一条工務店のような性能がある程度担保されている家であれば市場価値もあると思います。これはスマホと同様かもしれません。一条工務店やハイコストハウスメーカーはiPhoneで、ローコストハウスメーカーはandroidです。たとえ、性能が高くともandroidの中古市場での価格は高くありません。
ちなみにアメリカでは新築よりは中古の方が価値があるとされ、メンテナンスや修繕も日本の倍近くかけるという話がありますが、それはアメリカという特殊性を語らないといけません。基本的にアメリカでは、新築物件には何らかの欠陥があるのがあたりまえで自分で修繕して住むというのが当たり前という感覚があります。なので、以前誰かが住んでいた中古物件は修繕済みのため価値が上がるという事情があります。
「北海道R住宅」&「北方型住宅」
中古物件市場という意味では北海道は進んでいます。高断熱・高気密も北海道は進んでいるので、すごく参考になります。興味がある方は、「北海道R住宅」や「北方型住宅」で検索してみてください。とても良い取り組みと個人的には思うのですが住宅系インフルエンサーで言及してる人は少ないんですよね。